結論
- ソーダストリームで炭酸水を作った時、コップ1杯(200ml)の値段は約27円である。
※ソーダストリームで毎日1Lの炭酸水を1年間作り続けた時の値段。 - 毎日1Lの炭酸水をソーダストリームで作った時、64日目にはペットボトルの炭酸水の値段を下回る。
⇒炭酸水を飲む人ほど、ソーダストリームを購入したほうが将来的なコストは安くなる!!!
前提
- 個人の前提
- 毎日1Lの炭酸水を飲む。
- 強炭酸の炭酸水を好む。
- 水は浄水器を使用しており、本分析で浄水器の費用は捨象する。
- 炭酸水メーカーの前提
- スターターセットで8262円(税込)のソーダストリームを使う。
- スターターセットには、炭酸水メーカー本体と専用ボトルの他、予めガスシリンダー1本が付いている。
- 交換用ガスの値段は2160円(税込)である。
- 個人が好む強炭酸水を作る時、ガスシリンダー1本で作れる炭酸水は18Lである。
※公式サイトのプッシュ回数を参考にした。
プッシュ回数が多くなればなるほど強炭酸水が作れるが、ガスシリンダー1本で作れる炭酸水の量は減少する。
分析手法
ペットボトル炭酸水1Lの平均価格と炭酸水メーカーで作る炭酸水1Lの平均価格をそれぞれ求め、比較する。
分析内容
ペットボトルの値段
ペットボトル1Lの値段は216円(税込)である。
炭酸水メーカーを導入した際の値段
ガスシリンダー本数別の炭酸水1Lの値段(結果)
ガスシリンダーの本数 | 1Lの値段 |
---|---|
1本目 | 459 |
3本目 | 233 |
4本目 | 204 |
10本目 | 187 |
50本目 | 126 |
ガスシリンダー1本目の時、炭酸水1Lは459円である。
4本目のガスシリンダーを使っている時、炭酸水1Lは204円となり、ペットボトルで飲むよりも安くなる。
ガスシリンダーの本数が増えれば増えるほど(=炭酸水メーカーを使えば使うほど)、
炭酸水1Lの値段は下がっていくことが分かる。
数式の紹介(過程)
$$(1Lの値段)
=\frac{(スターターセットの値段)+(交換用ガスの値段) \times (ガスシリンダーの本数 – 1)}{(1本のガスで飲める量(1L)) \times (ガスシリンダーの本数)}$$
$$ =\frac{8262円 + 2160円 \times (ガスシリンダーの本数 – 1)}{18L \times (ガスシリンダーの本数)} $$
※スターターセットには、炭酸水メーカーと専用ボトルの他、ガスシリンダー1本分が含まれる。
経済学的意味~平均費用と限界費用~
グラフ
分析結果を元に、ソーダストリームとペットボトルの1L当たりの平均費用と限界費用をグラフにした。
グラフから分かること
- ソーダストリームの平均費用は、ガスシリンダーの本数が増えれにつれて、
- 少なくなっていく。
- 限界費用に近づいていく。
- ソーダストリームの平均費用は、ガスシリンダーが3本~4本の時に、ペットボトルの平均費用を下回る。
- ペットボトルの限界費用と平均費用は等しい。
- 限界費用は、どちらも一定である。
平均費用と限界費用
平均費用と限界費用の概念を説明するとともに、上で挙げた4つの特徴を簡単に論証する。
平均費用(Average Cost)
平均費用とは、ガスシリンダー1本(ペットボトル1本)当たりの費用である。
まさに、今回の分析で求めた額である。
第4章の数値はどちらも平均費用である。
限界費用(Marginal Cost)
限界費用とは、新たにガスシリンダー(ペットボトル)を1本追加した時にかかる費用である。
総費用曲線の傾きと等しい。
限界費用は、以下のように、費用関数(f(x))を生産量(x)で微分したものである。
$$ (限界費用)= \frac{d}{dx} f(x) $$
生産量は、ここでは、ペットボトルの本数やガスシリンダーの本数のことを言う。
- ペットボトルの限界費用
tはペットボトルの本数。
g(t)は総費用。
ペットボトルは1L。
$$ g(t) = (ペットボトルの値段) \times t $$
$$ \frac{d}{dt} g(t) = (ペットボトルの値段)= 216円 $$ - ソーダストリームの限界費用
sはガスシリンダーの本数。
h(s)は総費用。
$$ h(s) =(スタータセットの値段) + (交換用ガスの値段) \times (s-1) $$
$$ \frac{d}{ds} h(s) = (交換用ガスの値段) = 2160円 $$
ガスシリンダー1本で18Lの炭酸水が作れるから、炭酸水1本当たりの限界費用は、
$$ \frac{2160円}{18L} = 120(円/L) $$
まとめと考察
- 炭酸水を多く消費する人ほど、ソーダストリームを購入した方が長い目でみるとコストは安い。
- ソーダストリームを長く使うほど、炭酸水1杯の値段は安くなる。
- 中炭酸や微炭酸を好む人は、1本のガスシリンダーでより多くの炭酸水を飲めるため、炭酸水1杯の値段は強炭酸水の人よりも安くなるだろう。
- より高価な炭酸水メーカーを使用する場合は、炭酸水メーカーの平均費用がペットボトルの平均費用を下回る時点に達するまで時間がかかるだろう。
付録(Rコード)
・炭酸水1杯の値段を求めるためのコード
pet_price <- 216
start_price <- 8262 #スターターセットの値段
exgas_price <- 2160 #交換用ガスの値段
## ガス1本で何杯飲むことができるか
pub_push <- 180
use_L <- pub_push/10 #強炭酸水の場合、18L飲める。
## 平均費用の貨幣換算化
t <- c(1,3,60/18,63/18,64/18,4,5,10,20,50,100)
model <- (start_price + exgas_price * (t-1))/(use_L*t)
model
・グラフ化のコード
library(ggplot2)
s <- c(1:50)
# 変数の設定
x_mc <- data.frame(
bottle = s,
MarginalCost = 2160/18) #ソーダストリームの限界費用
x_pet <- data.frame(
bottle = s,
MarginalCost_pet = pet_price) #ペットボトルの限界費用
x_ac <- data.frame(
bottle = s,
AverageCost = (start_price + exgas_price * (s-1))/(use_L*s)) #平均費用の再掲
# グラフ化
g2 <- ggplot() +
geom_line(data=x_ac,
aes(bottle,AverageCost,col="平均費用(ソーダストリーム)"),size=1) +
geom_line(data=x_mc,
aes(bottle,MarginalCost, col="限界費用(ソーダストリーム)"),size=1) +
geom_line(data=x_pet,
aes(bottle,MarginalCost_pet,col="限界費用=平均費用(ペット)"),size=1) +
labs(title="1L当たりの平均費用と限界費用",x="ガスシリンダーの本数", y="費用(円/1L)") +
theme(plot.title = element_text(hjust=0.5)) +
theme(plot.title = element_text(size=15),
axis.title.x = element_text(size=12),
axis.title.y = element_text(size=12),
legend.title = element_text(size=10)) +
scale_color_discrete(name=element_blank()) +
theme(legend.position = c(0.8,0.5))
print(g2)